在庫管理表をエクセルで作る方法とは?便利な関数や運用メリット・デメリットを解説
在庫管理は、欠品や過剰在庫を防ぐために重要な業務です。小規模事業者では、エクセルで在庫を管理しているケースも多いのではないでしょうか。
本記事では、エクセルで在庫管理表を作る方法をステップごとに解説するとともに、在庫管理に便利な関数や機能、エクセル運用のメリット・デメリット、専用ツールへの移行を検討すべきサインまでを紹介します。
エクセルで在庫管理表を作る方法
エクセルで在庫管理表を作る手順を、6つのステップに分けて解説します。
STEP1. 無料テンプレートをダウンロードする
まずは、在庫管理表のテンプレートを入手しましょう。Microsoft公式からも、無料のテンプレートが提供されています。
ゼロから作成するよりも、テンプレートをベースに自社仕様へ調整するほうが効率的です。
STEP2. 管理項目を設定する
次に、在庫管理に必要な項目を表の見出しとして設定します。一般的には「商品コード」「商品名」「在庫数」「入庫数」「出庫数」「発注点」「保管場所」などを設定します。
在庫管理表に必要な主な項目は、以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商品コード | 商品識別用 |
| 商品名 | 管理対象の商品名 |
| カテゴリ | 分類管理 |
| 在庫数 | 現在庫 |
| 入庫数 | 仕入数 |
| 出庫数 | 販売数 |
| 発注点 | 発注基準 |
| 保管場所 | 倉庫・棚番号 |
| 賞味期限 | 食品向け |
| ロット番号 | 食品向け |
食品を扱う場合は、「賞味期限」「消費期限」「ロット番号」なども追加するとよいでしょう。
なお、管理項目は多すぎると入力負担が増えるため、自社の運用に必要なものに絞ることが重要です。

STEP3. 入庫・出庫欄を作成する
商品の増減を記録するために、入庫数と出庫数の入力欄を設けます。
商品の仕入れや製造によって増えた数量は入庫欄へ、販売や出荷によって減った数量は出庫欄へ入力します。

STEP4. 在庫数を自動計算する
関数を利用して、在庫数を自動計算できるようにしましょう。基本的な計算式は以下のとおりです。
在庫数 = 前日在庫 + 入庫数 − 出庫数
たとえば、B2セルに前日在庫、C2セルに入庫数、D2セルに出庫数を入力している場合、在庫数のセルには以下のように入力します。
=B2+C2-D2
手入力を減らすことで、計算ミスや更新漏れを防止できます。

STEP5. 条件付き書式で発注アラートを設定する
在庫切れを防ぐために、発注点(最低在庫数)を設定しましょう。
条件付き書式を利用すると、在庫数が発注点を下回った際にセルを自動で色付けできます。発注が必要な商品をひと目で把握できるため、欠品防止に役立ちます。

STEP6. 定期的に棚卸しを行う
在庫管理表の運用開始後は、定期的に棚卸しを実施し、帳簿在庫と実在庫を照合することが重要です。
棚卸し頻度は月次・四半期ごとなど、事業規模や商品数に応じて設定しましょう。差異が発生した場合は原因を分析し、入力ミスや管理方法を見直すことが大切です。
エクセルでの在庫管理に便利な関数
エクセルでの在庫管理に便利な関数は、以下の5つです。
| 関数 | 用途 |
|---|---|
| SUM関数 | 在庫数集計 |
| IF関数 | 発注点アラート |
| COUNTIF関数 | 商品数カウント |
| VLOOKUP関数 | 商品情報呼び出し |
| SUMIFS関数 | カテゴリ別集計 |
これらの関数を組み合わせることで、集計やチェック作業を自動化でき、在庫管理の効率が大きく向上します。
在庫管理を効率化するエクセルの機能
関数に加えて、エクセルには在庫管理を効率化できる機能が備わっています。代表的な5つの機能を紹介します。
テーブル機能
データ範囲を表として管理できる機能です。並べ替えやフィルターが自動で設定されるほか、新しいデータを追加しても集計範囲を自動で拡張できます。
フィルター機能
指定した条件でデータを絞り込める機能です。商品名や在庫数、カテゴリなどで必要な情報だけを表示できるため、大量のデータも効率的に確認できます。
ピボットテーブル
大量のデータを集計・分析できる機能です。商品別やカテゴリ別の在庫状況を簡単に集計でき、在庫の傾向把握やレポート作成に役立ちます。
条件付き書式
設定した条件に応じて、セルの色や文字の表示を変更できる機能です。在庫数が発注点を下回った商品を自動で色付けするなど、異常値の見落とし防止に活用できます。
データ入力規則
入力できる値や形式を制限する機能です。プルダウンリストの作成や数値範囲の指定ができるため、入力ミスや表記ゆれの防止につながります。

エクセルで在庫管理を行うメリット
エクセルで在庫管理を行うメリットは、主に3つあります。
1. 導入コストを抑えられる
エクセルでの在庫管理は、在庫管理システムと比較して初期費用や月額利用料を抑えられます。
小規模事業者やスタートアップでも導入しやすく、低コストで在庫管理を始めたい場合に適しています。ただし、管理対象が増えると人的コストが増加する場合もある点は理解しておきましょう。
2. 自社に合わせて自由にカスタマイズできる
エクセルなら、業種や業務フローに合わせて管理項目を自由に設定できます。
商品コード、保管場所、発注点など、必要な項目だけを管理でき、関数や条件付き書式を活用して自動計算やアラート機能を追加することも可能です。テンプレートをベースにしながら、自社仕様へ柔軟に変更できます。
3. 操作に慣れている担当者が多い
エクセルは多くのビジネスパーソンが使い慣れているため、新たなシステムの操作方法を習得する手間が少なく、教育コストや導入時の負担を軽減できます。
関数やピボットテーブルなどの応用機能も学習しやすく、既存業務に取り入れやすいため、スムーズに運用を開始できます。
エクセルで在庫管理を行うデメリット
一方で、エクセルでの在庫管理にはデメリットもあります。運用前に押さえておきたい3つのデメリットを解説します。
1. 入力ミスや更新漏れが発生しやすい
エクセルでの在庫管理は手入力が中心となるため、入力ミスや記載漏れが発生しやすくなります。
入庫・出庫の記録を忘れると、実在庫と帳簿在庫に差異が生じます。また、数式の誤編集やセルの削除によって、計算結果が正しく表示されなくなることもあります。
在庫情報の正確性が低下すると、欠品や過剰在庫の原因になるため注意が必要です。
2. 複数人で管理すると情報がズレやすい
複数人が同じファイルを編集すると、更新タイミングの違いによって情報の不整合が発生することがあります。
ファイルをコピーして運用している場合、どのデータが最新かわからなくなるケースも少なくありません。担当者ごとに入力ルールが異なると、管理品質にばらつきも生じます。
拠点や部署をまたいで在庫を管理する場合は、特に注意が必要です。
3. 商品数が増えると管理が煩雑になる
商品数や取扱品目が増えるほど管理表が肥大化し、確認や更新に時間がかかるようになります。
検索や集計に手間がかかって在庫状況を把握しにくくなるほか、商品ごとの発注点や保管場所の管理も複雑化します。棚卸し時の確認作業も増え、担当者の負担が大きくなる点がデメリットです。
専門家のコメント
エクセルは自由度が高い反面、シートによって列位置が異なるなど、データとして活用できなくなる場合があります。
また、新商品を追加する際に手間がかかるという声を伺います。
エクセル以外の在庫管理ツールを導入すべきサイン
以下の5つのサインに当てはまる場合は、エクセルから専用の在庫管理ツールへの移行を検討しましょう。
1. 商品数が100点を超えた
商品数100点はあくまで目安ですが、このあたりから管理表の肥大化による運用負担を感じる企業が増えます。
必要な商品情報を探すだけでも時間がかかるようになり、フィルターや関数を活用しても管理工数が増加しやすくなります。
2. 管理担当者が複数いる
管理担当者が増えると、入力ルールや更新タイミングの違いによるミスが発生しやすくなります。
ファイルの上書きや更新漏れによって、在庫情報の整合性が取れなくなる場合もあります。特に営業部門・物流部門・店舗担当者など、複数部署が関与する場合は注意が必要です。
3. 管理拠点が複数ある
複数の店舗や倉庫で在庫を管理する場合、エクセルだけで正確な情報を共有することは難しくなります。
在庫移動や出荷状況の反映に時間差が生じやすく、リアルタイムで在庫状況を把握しにくくなるため、欠品や過剰在庫のリスクが高まります。
4. 月に何度も在庫差異が発生する
在庫差異とは、帳簿上の在庫数と実際の在庫数が一致しない状態のことです。入力ミスや更新漏れ、棚卸しミスなどが主な原因となります。
差異が頻繁に発生する場合は、現行の管理方法に問題がある可能性が高いでしょう。在庫差異が続くと、欠品や過剰発注、機会損失につながります。
5. 棚卸しに半日以上かかる
棚卸し作業に長時間を要する場合、在庫管理の効率が低下している可能性があります。
棚卸し中は通常業務が停滞するため、現場への負担も大きくなります。棚卸しに毎回半日以上かかる場合は、管理方法の改善余地があると考えられます。
専門家のコメント
棚卸結果(実棚)を紙からエクセルに転記する作業時間を計測し、月の所要時間を把握することで、費用対効果が得られるシステム導入の検討材料になります。
需給調整なら「需っ給さん」がおすすめ
エクセルでの需給調整に限界を感じたら、食品製造業向けクラウドシステム「需っ給さん」がおすすめです。
需っ給さんとは、現場と経営の課題解決のための食品製造業向けクラウドシステムです。欠品による機会損失や売上減少、過剰在庫によるキャッシュフロー悪化といった、食品製造業の問題解決を目的としています。
需っ給さんでは、以下のことができます。
- PSI管理
- 賞味期限管理
- ロット管理
食品業界に特化して20年の企業だからこそ提供できる、業界唯一の需給調整システムです。エクセル運用に課題を感じている方は、ぜひ一度お問い合わせください。
まとめ
導入の手軽さやコスト面から、在庫管理表をエクセルで作成・運用する企業は多くあります。テンプレートや関数、条件付き書式を活用すれば、コストをかけずに一定レベルの在庫管理が可能です。
ただし、商品数の増加やロット管理の発生により、エクセル運用に限界が生じることも少なくありません。特に、賞味期限・消費期限の管理が必要な食品業界の場合は、「需っ給さん」のような専用システムの導入がおすすめです。



専門家のコメント
エクセルで管理する以上、複数名で担当できるよう属人化への対策が不可欠です。
特に、実績反映の運用ルールを徹底させること、複雑になりすぎないよう、エクセルをメンテナンスする際のナビゲーションやオペレーションマニュアルを作成し、変更管理を徹底させる必要があります。
※ドキュメントは”作って終わり”にならないことが重要です。