在庫管理

PSI管理とは?基礎知識から始め方・目的・メリットまでわかりやすく解説

PSI管理とは?基礎知識から始め方・目的・メリットまでわかりやすく解説

製造業・小売業・流通業など、商品を取り扱う業種にとって、PSI管理は非常に重要な取り組みです。

Excelなどを活用して自力で実施することも不可能ではないものの、運用には限界があります。PSI管理の精度を高めるなら、システムの活用がおすすめです。

本記事では、PSI管理の基礎知識から目的・メリット、基本的な進め方、成功のポイント、システム導入のメリットまでをわかりやすく解説します。

PSI管理とは

PSI管理のPSIとは、以下の3つの頭文字をとった言葉です。

  • Production(生産)
  • Sales(販売計画)
  • Inventory(在庫)

PSI管理・PSI計画の概要

PSI管理とは、生産・販売計画・在庫をそれぞれ別の項目と捉えず、密接な関係として捉えて、精度の高い生産計画を立てられるように管理することです。

製造業における重要な管理手法であり、欠品や過剰在庫といった問題を防ぎ、効率的な資源活用を実現することを目的としています。

PSI管理が重要な理由

生産性向上や販売機会の最大化、コスト削減といった経営課題を背景に、PSIの注目度が高まってきています。

精度の高い需要予測をもとに生産や在庫をコントロールすることで、適正在庫を維持できます。

従来は、欠品による機会損失を防ぐために多めの在庫を持つことは比較的容易でした。しかし最近の状況では、そのような余裕を持った在庫管理が難しくなってきたことも、PSI管理が重視される一因となっています。

PSI管理を行う目的・メリット

PSI管理を行う目的とメリットは、主に3つあります。

  1. 在庫や生産計画を適正化できる
  2. 売上・利益の最大化を図れる
  3. 部門間の情報共有を円滑化できる

1. 在庫や生産計画を適正化できる

PSI管理を行うことで、トレンドや季節性の需要の変化にも柔軟に対応できます。

予測される需要に対して欠品を防ぎやすくなるため、過剰に在庫を抱えるリスクを抑えつつ、ある程度の需要変動に対して柔軟に対応しやすくなります。

2. 売上・利益の最大化を図れる

PSI管理を行うことで、顧客からの需要に対してタイムリーに必要な分だけ商品を提供できるため、売上・利益の最大化を図れます。

販売機会を失わずに済むうえ、無駄な在庫保管にかかるコストも抑えられます。また、生産工程で発生する無駄なコストを削減することも期待できます。

3. 部門間の情報共有を円滑化できる

PSI管理では、生産・販売・在庫に関するデータを一元管理するため、営業・製造・物流・購買など複数部門が同じ情報を参照できます。

部門ごとに異なるデータを管理している場合に起こりがちな、情報の食い違いや伝達漏れを防げます。

販売計画の変更や需要の変化があった際も、関係部門へ迅速に共有でき、生産計画や発注計画をスムーズに調整しやすくなります。

複数の原料や部品、資材を組み合わせて製品を作る場合、PSI管理で各原材料の需要予測と在庫状況を一元管理することで、原材料不足による生産ラインの停止を防止できます。

例えば、ある原材料の納期が長い場合でも、早期に発注計画を立てることで生産遅延を回避できます。

専門家のコメント

安立 雄亮
安立 雄亮
株式会社シグマクレスト

複数店舗展開していたり、複数倉庫で同一商品を扱う場合、PSI管理により拠点間の在庫状況をリアルタイムで把握し、過剰在庫のある拠点から不足している拠点へ迅速に商品を移動させることが可能です。

これにより、全体としての在庫効率が向上し、販売機会の最大化につながります。

PSI管理を行わない場合のリスク

一方、PSI管理を行わない場合には、以下の3つのリスクが生じます。

  1. 過剰在庫が発生する
  2. 欠品によって販売機会を失う
  3. 生産計画が非効率になる

1. 過剰在庫が発生する

在庫を適正に管理できないことにより、過剰在庫が発生してしまうリスクがあります。

過剰在庫を抱えること自体が悪いとは言い切れないものの(欠品リスクを防げるため)、仕入れ・保管にコストがかかるため、基本的には在庫は適正に管理したほうがよいでしょう。

近年は原材料・輸送費の高騰やSDGsの流れもあるため、過度な在庫の確保がもたらすデメリットは大きくなっています。

2. 欠品によって販売機会を失う

適正に在庫管理を行えていなかった場合、欠品が生じるリスクが伴います。

欠品が発生すると、販売機会を損なってしまうため注意が必要です。欠品は需要変動によって発生することが多く、需要変動はPSI管理によって把握しやすくなります。

3. 生産計画が非効率になる

PSI管理が適切に行われていないと、販売計画や在庫状況を反映できず、実態に合わない生産計画になりやすくなります。

需要を正確に把握できないため、生産しすぎによる過剰在庫や、生産不足による欠品が発生しやすくなります。

また、生産設備や人員を効率的に活用できず、稼働率の低下や残業・休日出勤などにつながる場合もあります。

欠品や納期遅延が頻発すると、顧客の信頼を失い、リピート率の低下や口コミによるブランドイメージの悪化につながります。

特に競合が激しい市場では、顧客が他社に流れてしまうリスクが高まります。

専門家のコメント

安立 雄亮
安立 雄亮
株式会社シグマクレスト

過剰在庫や生産の非効率に加え、緊急対応のための追加発注や急な生産ラインの稼働増加(残業・休日出勤など)が発生しやすくなります。これらは直接的なコスト増加を招き、収益性を悪化させる要因となります。

PSI管理の基本的な進め方

PSI管理は、以下の5ステップで進めます。

  1. 販売計画(S)を作成する
  2. 生産計画(P)を立てる
  3. 在庫計画(I)を調整する
  4. 実績との差異を分析する
  5. 計画を継続的に改善する

はじめに販売計画を作成し、それをもとに生産計画と在庫計画を調整します。運用開始後は実績との差異を分析し、継続的に計画を改善していくことが重要です。

各ステップについて、詳しく説明していきます。

販売計画(S)を作成する

過去の販売データや市場トレンド、季節要因(春夏・秋冬のシーズン)を分析し、販売計画を立てます。

例えば、前年同週、同曜日の販売実績に加え、新商品のプロモーション効果や競合状況を考慮して、月別・地域別の販売数量を予測します。

生産計画(P)を立てる

販売計画をもとに、生販調整部門は原材料の調達スケジュールや生産ラインの稼働計画を作成します。

生産部門は、日別の生産計画に加えてと繁忙期に向けて生産能力を増強するためのシフト調整や外注先の手配などを行います。

在庫計画(I)を調整する

販売計画と生産計画を踏まえ、適正在庫量を設定します。

例えば、各店舗や倉庫にどの程度の在庫を配置するかを決め、過剰在庫や欠品を防ぐために安全在庫レベルを設定します。

さらに、物流のリードタイムを考慮して、在庫補充のタイミングも計画します。

実績との差異を分析・継続的に改善する

計画データもきちんと残し、販売開始後、実際の販売数量や在庫状況をモニタリングし、計画と実績の差異を分析します。

例えば、予想よりも特定の地域で売れ行きが良かった場合、その原因(プロモーション効果、天候、競合の動きなど)を調査し、次回の計画に反映させます。

PSI管理を成功させるポイント

PSI管理を成功させるには、以下の4つのポイントを押さえましょう。

  1. 正確な販売データを収集する
  2. 定期的に需要予測を見直す
  3. KPIを設定して効果を検証する
  4. システムを活用して運用を効率化する

ポイント1. 正確な販売データを収集する

正確な需要予測とデータ活用は、過剰在庫や欠品リスクを最小限に抑え、効率的な在庫管理を実現するための核となる戦略です。

過去の販売実績や市場動向などの多様なデータを収集・解析し、AIなどの最新技術を活用して将来の需要を解析・予測するため、正確なデータを十分な量用意する必要があります。

ポイント2. 定期的に需要予測を見直す

市場環境や顧客ニーズは常に変化するため、一度立てた需要予測を固定せず、定期的に見直すことが重要です。

実績と予測との差異を分析し、その結果を次回以降の予測へ反映することで精度を高められます。

新商品や季節商品、急な需要変動が起こりやすい商材は、より短いサイクルで予測を更新すると効果的です。

専門家のコメント

安立 雄亮
安立 雄亮
株式会社シグマクレスト

実際の販売実績と予測値を比較し、どの程度の誤差があったかを定量的に把握しましょう。

例えば、月次や週次で「予測誤差率(MAPE:平均絶対誤差率)」を算出し、誤差の傾向やパターンを分析します。誤差が大きい場合は、情報不足だったことがわかります。

次に、実績と予測の差異が生じた背景を調査します。例えば、天候変動、プロモーション効果、競合の動き、社会的イベントなどの外部要因を特定し、調整係数として反映させます。

そういった情報を他部門から仕入れらるよう関係部門と定期的にミーティングを行い、現場の声や市場情報を共有します。これにより、予測に反映されていない最新の情報を取り入れやすくなります。

ポイント3. KPIを設定して効果を検証する

PSI管理の成果を把握するため、あらかじめ評価指標(KPI)を設定しましょう。

KPIの例は以下のとおりです。

  • 在庫回転率
  • 欠品率
  • 在庫金額
  • 需要予測精度
  • 納期遵守率

KPIを定期的に確認することで、課題を早期に発見し、改善策を検討しやすくなります。

ポイント4. システムを活用して運用を効率化する

PSI管理システムを導入すれば、生産・販売・在庫データを一元管理でき、情報共有や計画の見直しを効率化できます。

人力での管理は作業が煩雑なため、属人化しやすくミスも発生しやすくなります。

AI需要予測に対応したシステムであれば、需要変動を踏まえた高精度な生産・在庫計画の策定も可能です。

エクセルによるPSI管理の課題

PSI管理はエクセルでも実施できますが、以下の3つの課題があります。

  1. データ更新に時間がかかる
  2. 属人化しやすい
  3. リアルタイム管理が難しい

1. データ更新に時間がかかる

エクセルでPSI管理を行う場合、販売・生産・在庫データを手作業で入力・集計するケースが多く、更新作業に時間を要します。

商品数や拠点数が増えるほど、データの転記や集計の負担が大きくなり、担当者の業務負荷が増加します。

2. 属人化しやすい

ファイルの作成ルールや関数、マクロを特定の担当者しか理解していないケースが多く、運用が属人化しやすくなります。

担当者が異動・退職した場合、引き継ぎに時間がかかったり、管理品質が低下したりする可能性があります。

3. リアルタイム管理が難しい

データを手動で更新するため、販売状況や在庫状況の変化をリアルタイムに反映しにくくなります。

急な受注増加や欠品などが発生しても、最新情報が共有されるまでタイムラグが生じることがあります。

PSI管理システムを導入するメリット

エクセルの課題を解決するPSI管理システムには、以下の3つのメリットがあります。

  1. 自動でデータを集計できる
  2. 需要予測の精度を高められる
  3. 生産・販売・在庫を一元管理できる

メリット1. 自動でデータを集計できる

販売・生産・在庫などのデータをシステムが自動で収集・集計するため、手作業による入力や転記の負担を削減できます。

集計ミスや入力漏れなどのヒューマンエラーを防ぎ、データの信頼性向上につながります。

定期的なレポート作成や在庫状況の確認も効率化でき、担当者は分析や改善業務に時間を割きやすくなります。

メリット2. 需要予測の精度を高められる

過去の販売実績や季節変動、販促施策などのデータを活用し、より精度の高い需要予測を行えます。

AI需要予測に対応したシステムでは、多数のデータを分析して需要変動を予測できるため、人の経験や勘だけに頼らない計画立案が可能です。

需要予測の精度が向上することで、過剰在庫や欠品のリスクを抑えやすくなります。

メリット3. 生産・販売・在庫を一元管理できる

生産・販売・在庫に関する情報を一つのシステムで管理できるため、最新データをリアルタイムで共有しやすくなります。

営業・製造・購買・物流など、複数部門が同じ情報を参照できるため、部門間の連携を強化できます。

販売状況や在庫状況の変化を踏まえて、生産計画や発注計画を迅速に見直せる点もメリットです。

需給調整なら「需っ給さん」がおすすめ

食品業界で需給調整システムを検討するなら、「需っ給さん」がおすすめです。

需っ給さんとは、現場と経営の課題解決のための食品製造業向けクラウドシステムです。欠品による機会損失や売上減少、過剰在庫によるキャッシュフロー悪化といった、食品製造業の問題解決を目的としています。

需っ給さんでは、以下のことができます。

  • PSI管理
  • 賞味期限管理
  • ロット管理

需っ給さんでは、適正在庫の下限値と上限値を自動計算します。定番品なら直近のトレンドを、季節品なら前年の実績を参照して適正在庫を計算するため、商品特性に応じた需給調整が可能です。

また、ロット別有効在庫参照機能があり、全体の在庫のうち、出荷可能な在庫の過不足の把握が可能です。出荷期限をもとに未来分の在庫が引き当てられます。

食品業界に特化して20年の企業だからこそ提供できる、業界唯一の需給調整システムです。需給調整に課題を感じている方は、ぜひ一度お問い合わせください。

まとめ

本記事では、PSI管理の基礎知識から目的・メリット、進め方、成功のポイント、システム導入のメリットを解説しました。

PSI管理とは、生産・販売計画・在庫を密接に関連づけて管理する手法です。適切に運用することで、在庫や生産計画の適正化、売上・利益の最大化、部門間の情報共有の円滑化を実現できます。

エクセルでも実施可能ですが、データ更新の負荷や属人化、リアルタイム管理の難しさといった課題があります。PSI管理の精度と効率を高めるなら、システムの活用を検討してみてください。

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